「日本薬史学会」は、薬に関する歴史の研究が日本の薬学の進歩発展に大きな貢献をすることを目的にしています。
わが国の薬業界は近世の薬種問屋を起源とする経営から、現代医薬品産業へと飛躍的な発展をして参りました。21世紀になって「生命の世 紀」を支える医薬品産業へと変貌を遂げつつあります。また、わが国の薬学の学術研究は、 有機化学、天然物化学を軸として、衛生化学を加えて基礎的な分野で独自の進歩をしてきましたが、現代の薬学研究 分野は生命・分子薬学、分子生化学、臨床薬理学、DDS製剤学、医療薬学、ゲノム創薬、バイオインフォマティクス、 社会薬学などの分野が大きく発展してきました。薬学教育6年制の実施に伴って薬学教育研究は大きな変化をしつつ あります。また医療の分野では、医薬分業が急進展して「医療の担い手」としての病院薬剤師、保険薬局薬剤師など 薬剤師の職能と社会的な責務は著しい変貌を遂げつつあります。
日本の社会と医療は21世紀になった現在、薬学の教育研究、医薬品産業、医療社会など広範な分野で今までに 経験しなかった変革の時期を迎えています。このような領域で学術活動を行っている日本薬史学会に入会され、これからの新しい時代を背負って活躍する若い人 たちが、正しい歴史観をもって活躍されるように呼びかけます。
東京大学名誉教授、故朝比奈泰彦先生を初代会長として、1954(昭和29)年に創立された学会です。 1966(昭和41)年より学会誌『薬史学雑誌』を発刊し、わが国の多くの薬史学研究の成果が掲載されてきました。最近では学会誌として質量ともに充実し、これらの論文で学位を取得された方もおられます。
柴田承二第4代会長の時、1994(平成6)年に創立40周年を記念し、『日本医薬品産業史』 (薬事日報社)を出版。2004(平成16)年には『日本薬史学会五十年史』を、また2014(平成26)年には『創立60周年記念号』刊行しました。